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<口蹄疫>いたる所に石灰散布…最大の感染地・川南町ルポ(毎日新聞)

 宮崎県で感染が広がる家畜伝染病、口蹄疫(こうていえき)の最大の感染地、川南(かわみなみ)町。この1カ月で町の風景は一変した。人通りは絶え、公共施設や飲食店、民家など町中いたるところに石灰がまかれ、消毒マットによる防疫が続く。口蹄疫は畜産農家だけでなく地元経済にも深刻な影響を及ぼすが「開拓精神」で頑張る動きもある。【澤本麻里子】

 ◇絶えた人通り

 「人が来ないから収入がない。町全体がストップした」と町商工会の有沢章事務局長(61)は肩を落とした。川南町は、青森県十和田市、福島県矢吹町と並ぶ日本三大開拓地の一つと呼ばれ、戦後、入植者らの手で開かれた。畜産を中心に全国有数の農業生産量を誇る。毎月1回、さまざまな商品を載せた軽トラックが集まる「トロントロン軽トラ市」など、全国から注目されるイベントも企画し、町おこしにも力を入れてきた。ところが、口蹄疫問題が浮上した4月末以来、市は中止された。再開時期は決まっていない。

 飲食店など364店が加盟する川南町商工会。大型連休後、「店がつぶれそうだ」と相談を持ちかける経営者が急増している。

 国は畜産農家への補償や経済支援については発表したが、地元企業などへの言及はない。町商工会は融資の返済期限を延ばすなどして対応しているが、解決方法は見えない。有沢事務局長は「県内外に感染が広がる可能性がある以上、川南だけの問題ではない。町だけで再建するには限界がある。私たちは国に見捨てられたのか」ともどかしさを語った。

 老舗料亭「赤坂」は先月20日、予約が全部キャンセルされた。その後も客足は遠のき、前年比で収入は大幅ダウンだ。おかみの和田直子さん(50)は「軽トラ市などで盛り上がっていたところから一気に落ちた。ジェットコースターに乗っている気分」とため息をつく。姉(54)が飼育していた豚約1200頭も殺処分された。和田さん自身、経営に不安を抱えたまま毎日を過ごす。「国にはもう少し危機感を持ってスピーディーに対応してほしかった」

 その中で経営を支えているのが町内でワクチン接種などの作業に従事する獣医師らの弁当づくり。ライバル関係にある同業他社と協力している。「こんな時はおたがいさま。すべてが終わったらライバルに戻りましょうと話してます。不安はあるけど、先人の開拓精神を見習ってもう一度、川南を元気にしたい」と笑顔を見せた。

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